住宅の購入には、さまざまな経費や税金がかかります。購入に際して必要になる出費を把握しておかなければ、ローンの支払いが厳しくなることもあるので注意が必要です。
そこで今回は、住宅の購入に必要な資金の額や必要な経費・税金などについて詳しく解説します。資金不足の対処法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
住宅の購入に必要な資金
住宅の購入には、さまざまな種類の諸費用を支払う必要があります。諸費用の総額は、建売の新築戸建てで物件価格の6~9%、注文住宅や新築分譲マンションは物件価格の3~6%程度と考えておくといいでしょう。たとえば、4,000万円の新築戸建てなら、諸費用の総額は120~240万円が目安となります。
諸費用の内容を詳しく見ていきましょう。
不動産取得税
不動産を取得した人に対して課税される地方税です。税率は原則として4%ですが、2024年3月31日までに取得した宅地は「評価額×1/2×3%」、住宅は「評価額×3%」の軽減措置が取られます。なお、購入する住宅の条件によっては、税負担が軽減される特例措置を利用できることもあります。
軽減措置が適用されると税額がゼロになることもあるので、不動産会社や所轄の地方税事務所に問い合わせてみましょう。
仲介手数料
仲介手数料は不動産会社に支払う成功報酬です。不動産会社を介して住宅を購入した場合に支払います。
仲介手数料上限額は、下記の方法で算出できます。
・売買価格×3%+6万円+消費税
たとえば、4,000万円の物件を購入したときの仲介手数料上限は「4,000万円×3%+6万円+消費税10%=138万6,000円」です。
仲介手数料に定価はありません。不動産会社によって実際の金額は異なります。また、仲介手数料は成功報酬であるため、取引が未成立の場合には支払う必要がありません。
住宅ローン費用
住宅ローンを利用する場合には、次のような費用が発生します。
・融資手数料
住宅ローンを契約した金融機関に支払う手数料です。「保証会社手数料」という名目になっていることもあります。
金額は金融機関によって異なりますが、定額の場合で3~33万円、定率型は融資額の2.2%前後が一般的です。たとえば、定率型で3,000万円を借りた場合の融資手数料は66万円が目安となります。
・ローン保証料
保証会社に保証を委託する費用です。保証料の目安は、一括前払いで借入金額の2.0%程度、ローンと合わせて毎月支払う場合は0.2%程度になります。
・印紙代
経済取引に伴って作成される文書や契約書には「印紙税」が課せられます。住宅購入時の印紙税額は2〜6万円と考えておけばいいでしょう。
・火災、地震保険料
住宅の購入時には、火災保険と地震保険に加入するのが一般的です。火災保険料は5~40万円、地震保険料は、保険金額1,000万円あたり約1~3万円が相場になります。なお、地震保険は単体での契約はできません。必ず火災保険とセットで加入することになります。
・適合証明書
フラット35の利用に必要な書類です。作成費用は新築の戸建で2~3万円程度になります。
・団体信用生命保険料
住宅ローンの契約者が死亡または高度障害状態となった場合に、ローンの借入残額が支払われる保険です。保険料は借入額に対する定率で設定されます。
司法書士報酬
登記の手続きなどを司法書士に依頼したときに発生する報酬です。登記は自分でもできますが、司法書士に代行してもらうのが一般的です。代行費用は登記の種類によって異なりますが、3~5万円前後が相場になります。
住宅購入後に必要な資金
住宅購入後の主な支出としては、固定資産税と都市計画税があります。どちらの税金も毎年1月1日時点で不動産を所有する人に課せられる地方税です。固定資産税の税率は原則として「課税標準額×1.4%」になります。都市計画税の税率は自治体によって異なりますが、最高税率は0.3%です。
住宅購入後の修繕費用も計算しておいた方がいいでしょう。マンションの場合は、毎月の管理費と修繕積立金も必要になります。
住宅購入資金計画の立て方
無理のない資金計画を作成するには、年収に対するローン返済額の割合を20〜30%程度にする必要があります。なお、年収に対するローン返済額の割合を「返済負担率」と呼びます。
たとえば、年収500万円で返済負担率が20%であれば、年間のローン返済額は100万円です。月々の返済額は約8万円となるので、家計の負担にはならないでしょう。35年ローンを組むのであれば、3,500万円が借入金額の上限であることもわかります。
ただし、上限ギリギリで借りると家計を圧迫する恐れがあるので注意は必要です。また、返済負担率はクレジットカードのローンや自動車ローンなど、すべての支払いを考慮して計算しなければいけません。多額のローンを抱えていると返済負担率が高くなるため、住宅ローンの審査に通らないこともあります。
返済負担率だけではなく、住宅の維持費やライフイベントの出費を考慮することも重要です。出産や子どもの教育費など、大きな出費を伴うイベントでローンの返済に困ることのないように、中長期的な資金計画を立てていきましょう。
住宅購入資金が不足した場合の対処法3つ
住宅購入資金が不足したときには、次のような方法で対処できます。
・親や祖父母から援助してもらう
・夫婦の収入を合算する
・親子リレー返済を活用する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
親や祖父母から援助してもらう
親から資金援助をしてもらう方法です。一般的な資金提供には贈与税が課されますが、住宅購入資金では非課税枠を利用できます。
適用期限 | 省エネ等住宅 | 一般住宅 |
2023年12月 | 非課税限度額1,000万円 | 非課税限度額500万円 |
省エネ等住宅であれば最大1,000万円の非課税枠を利用できるので、検討してみる価値はあるでしょう。親や祖父母からの資金援助があれば住宅ローンの借り入れ額も少なくなり、将来的な負担も軽減できます。
非課税の対象となる住宅の条件は「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」で確認しておきましょう。
夫婦の収入を合算する
夫婦の収入を合算すれば、住宅ローンで借り入れ額を増やせます。夫婦で返済の義務を負うことになりますが、夫婦揃って住宅ローン控除の対象になるため、税制面でも有利です。
親子リレー返済を活用する
親子二世代で住宅ローンを返済する方法です。借入期間を長く設定すれば、毎月の返済額を少なくすることができます。
ただし、子どもに負債を引き継ぐことになるので、双方が理解と納得したうえで活用するようにしましょう。
まとめ
住宅を購入する際には、必要になる経費や税金の額を事前に算出して、無理のない資金計画を立てるようにしましょう。出産や子どもの教育費、固定資産税といった中長期的な出費を考慮することも大切です。
資金が不足しているときや、ローンの返済が厳しくなりそうな場合は、親や祖父母からの支援を受けたり、夫婦の収入を合算したりすると対応できることもあります。
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